振袖と着物の違いは?意外と知らないその違いについて説明!
振袖と着物の名前そのものは頻繁に耳にするものです。現在は観光地でレンタルできることもあり、目にしたり実際に着たりする機会も多いのではないでしょうか。しかし、振袖と着物の違いを問われると、答えられない人も多いでしょう。そこで今回の記事では、振袖と着物の2つの違いについて紹介していきます。興味のある人は参考にしてください。
着物とは
着物という言葉は、和服の総称になります。種類を問わず和服であれば、着物と称されるということです。つまり、振袖も着物の中のひとつに該当します。振袖以外にも、着物には複数の種類があるのをご存知でしょうか。
どこに行くのか、どのようなシーンで着るのかによって、どの着物を着用すればよいのかが決まっているのです。留袖、訪問着、小紋、付け下げなど、種類は多岐に渡ります。多くの人になじみがあるものでは、浴衣もそのひとつです。花火大会や夏祭りで着るイメージが強い人もいますが、もともと浴衣は家庭でくつろいでいる時に着る、もっともカジュアルな着物なのです。
振袖とは
それでは、着物の中でも振袖はどのようなシーンで着るものなのでしょうか。振袖は、浴衣とは正反対に格式の高い着物です。未婚女性の第一礼装として扱われています。ここでは振袖の歴史にも触れながら、詳しく解説しましょう。
なぜ袖が長いのか
振袖の特徴は、振れるほどの長い袖丈です。踊り子が袖を振る動作で愛情を表現していたことから、振袖が生まれたとされています。この袖の長さは、時代によって変化してきました。昔は55センチメートルから95センチメートルほどと短めだったのです。
袖が長くなっていった理由は諸説ありますが、踊りをきれいに見せるため、病気などの厄をしっかり払えるようにするため、といわれています。そのような背景から、江戸末期には袖の長さが95センチメートルから122センチメートルにまで長くなりました。現在では少し短くなっており、もっとも袖が長い本振袖と呼ばれるもので、114センチメートルまでとなっています。
既婚女性は着られない
振袖は未婚女性の礼装で、既婚女性には別の礼装があります。それが留袖で、未婚時には振っていたはずの袖が、結婚後は留められるのです。これにも理由があります。
昔は女性側から、好意を寄せている男性へ気持ちを示すことは稀な時代でした。そのため、女性は袖を振ることで相手へ好意を伝えていたというのです。袖を縦に振れば「好き」、袖を横に振れば「嫌い」のようにしていました。結婚するとこのように男性に思いを伝える必要もなくなるため、未婚時は振袖、結婚後は留袖と決まっているのです。袖を留めて、夫に思いを留めるという意味ももっています。
振袖を着るタイミング
振袖は第一礼装と紹介しましたが、どのような時に着るとよいものなのでしょうか。多くの人が一番に思い浮かぶシーンは、成人式ではないでしょうか。人生に一度の大事な晴れ舞台ですから、礼装を着て、かつ厄払いの意味のある振袖を着るのは、納得がいくでしょう。しかし、成人式以外でも振袖を着られるシーンはもちろんあります。
結婚式
よく着られているのは、結婚式です。自分の結婚式に、お色直しの衣装として着るケースも珍しくありません。それ以外に、友達や親戚の結婚式に参列する際にも着用できます。ただし、花嫁が振袖を着る場合は、色や柄など被ることがないよう、事前に確認しておくことが大切です。
卒業式
振袖に袴を合わせて、卒業式で着用することも可能です。もともとは袴に着る振袖は小振袖、つまり袖が短めのものを着るのが一般的でした。しかし近年、成人式のために用意した中振袖・本振袖を合わせる人が増えています。成人式の振袖をレンタルした場合は、卒業式で同じ振袖を、袴と一緒にもう一度貸し出してくれるところもあります。せっかく気に入って選んだ振袖だからこそ、2回楽しんでみるのもよいでしょう。
袖を直して訪問着に
振袖は人生を通して着るのは難しいものです。未婚のままでも、年齢を重ねると着用しにくくなってしまうでしょう。明確な基準はありませんが、振袖の着用はだいたい20代までが無難といわれています。それなら何を着ればいいのかというと、未婚・既婚さらには年齢も問わず着られるのが訪問着です。
訪問着は第一礼装とまではいきませんが、充分にフォーマルな部類の着物に該当します。お呼ばれされた時、観劇やお茶席に行く時など、おでかけに着られるおしゃれ着として認識されているのです。振袖の袖を短く直して訪問着に変えておくと、さまざまなシーンで活用できます。柄の出方などが変わる場合があるので、プロの職人と相談しながらお直しするのがおすすめです。
振袖と着物の違いについてお分かりいただけたでしょうか。振袖には歴史や意味があるからこそ、限られたシーン・年代でしか着られない着物になっています。しかし、タイミングや工夫次第では、何度でも長く振袖を楽しめるのです。「成人式でしか着られない」と思わずに、さまざまな場面で着用することを考えながら、振袖を選んでみてください。